みなみ野動物病院

関節炎

関節炎とは

関節内に炎症性変化が生じる疾患で、原因は感染性と免疫介在性(自身の免疫機構が自身の細胞を攻撃してしまう原因不明の疾患)に大別されます。複数の関節に同時多発的に生じることも多く、その多くが進行性です。 免疫介在性疾患の場合、全身性の免疫疾患(全身性紅斑性狼瘡;SLE)の可能性があり、その場合全身性の臓器不全を伴うためより慎重な治療が必要となります。

症状

症状は単肢~複数肢における突然または徐々に生じる跛行(不自然な脚の着き方)、関節の腫脹(腫れ)や拘縮(こわばり)、可動域制限(関節が本来の可動域を有さない)、発熱、元気消失、食欲不振などで、関節炎や変形性関節症(後述)に特徴的な症状として、寝起きや運動開始時、長時間運動後に生じる跛行があります。

また、関節炎が関節軟骨に損傷をきたした場合、変形性関節症(DJD)と呼ばれる関節疾患を続発し、これも症状の一因となります。DJDでは、損傷した軟骨を復元しようとして関節内に骨が増生し(骨棘と呼ばれるボコボコとした骨の所見)、これが痛みの原因となって跛行を呈します。基礎疾患の治療を行うことが重要ですが、治療の有無にかかわらず進行します。ただし無症状なことも多く、1歳以上の20%の犬が罹患しているとも言われています。

診断

・X線検査:骨の増殖性(骨が増生した所見)あるいはびらん性変化(骨が破壊された所見)、関節液増加(クッション機能及び栄養供給のために関節内に生理的に存在する液体)、隣接する軟部組織の腫脹(骨以外の組織のこと)など

・関節液検査:関節液の粘稠性低下、濁り(本来関節液は透明で粘り気がある)、関節液中に好中球出現(白血球の1種で、炎症時に出現する)、細菌の出現

・滑膜の病理診断(滑膜とは、関節を内張りする構造物で、関節炎の多くで病変が生じる)

・血液検査:白血球の増加(感染や炎症時に増加する)、CRP(炎症マーカー)の高値、抗核抗体陽性(SLEの指標)、リウマチ因子陽性(リウマチ様関節炎の指標)

治療

一般的に、内科療法(手術しない治療法)が用いられます。(細菌性の場合抗生物質治療、免疫介在性の場合ステロイドや免疫抑制剤による免疫抑制療法)また、すべての関節疾患において体重管理、栄養補助、運動療法、理学療法、抗炎症薬の投与が有効ですが、中でも体重管理(適切な体重に減量すること)は飼い主さんが最も簡単に行えて尚且つその効果は非常に高いと言われています。大型犬(体重が重いため関節にかかる負荷が強く、症状が重篤化しやすい)などで症状が重い場合、外科手術適応となることもあります。(関節固定術や人工関節置換術)

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