股関節形成不全
股関節形成不全とは
大腿骨(太ももの骨)と骨盤を関節する股関節に形態的異常を有している状態を指します。遺伝的要因が最大の原因であると考えられています。症状が現れるのは、多くで一歳未満の若齢時と高齢時です。
関節が不整合なため、骨同士がぶつかり合い、骨表面の軟骨が削れます。軟骨の下の骨に損傷が届くと痛みが生じて症状が出現する原因になります。しかし多くの場合、成長に伴い関節周囲の軟部組織(骨以外の組織)が強固になり、関節の不安定を補うため症状は消失します。ただし軟骨のすり減りによる変形性関節症(DJD)は進行していますので、老齢になるとDJDによる症状が生じます。
症状
・休息後の起立困難
・歩きたがらない
・運動後の跛行(足を引きずる、片足を上げて歩く)
・間欠的または持続的な跛行
検査
触診、X線検査
治療
症状が軽度な場合、一般的に内科療法を選択します。消炎鎮痛剤による投薬、体重管理、理学療法を行います。
内科療法に反応しない場合には外科療法を行います。また、成長期を終える前に見つかった場合には、予防的な意味を持つ外科療法を選択する場合もあります。成長後にきれいな股関節が形成されるよう、骨盤の一部を電気メスで焼き過剰な成長を妨げる方法、骨盤を複数箇所で切断後位置をずらして固定する方法など、年齢や成長程度により術式を検討します。
股関節形成不全により変形性関節症が進んだ股関節
(オレンジ丸囲みは、変形性関節症による骨棘)