みなみ野動物病院

当院での循環器科症例紹介

1. 息が荒く、苦しそう

診断 心原性肺水腫
処置
心原性肺水腫 治療前

治療前

心原性肺水腫 治療後

治療後

レントゲン検査を行ったところ、肺が白くなっていました。原因は、僧帽弁閉鎖不全症による心不全でした。
元々心臓が悪い子で、心臓のお薬を内服していましたが、お薬でも助けてあげられないほど心臓が弱ってしまい、その結果、肺にお水が溜まり、呼吸困難となってしまいました。
この病気は命に関わるため入院となり、利尿剤を中心とした内科治療で、肺のお水を尿にだしてあげる治療を行いました。その結果、息苦しさもなくなり、退院することができました。

2. 心拍数が遅い

診断 第三度房室ブロック
処置
第三度房室ブロック
第三度房室ブロック

ワクチン接種時に心拍数が遅いことがわかり、心電図検査を行いました。その結果、第三度房室ブロックという不整脈が見つかりました。
この不整脈は突然死のリスクが高く、ペースメーカ植え込みという手術が第一選択となります。専門性の高い手術となりますので、大学病院を紹介し、手術を実施していただきました。
その後、心拍数はペースメーカにより保たれ、不整脈による突然死の心配はなくなりました。

3. 保護した子なのでフィラリアの検査をしてほしい

診断 フィラリア陽性
処置
フィラリア陽性 血液内のフィラリアの幼虫

血液内のフィラリアの幼虫

当院ではフィラリアの予防薬を飲む前にフィラリアに感染していないか検査をおすすめしています。
この子は、検査でフィラリアに感染していることがわかりました。フィラリアが体内にいる状態で予防薬を飲むと死んだ虫体が血管につまりショックを起こす可能性があります。
今では都内では珍しい病気となっていますが、念のためしっかりと検査と予防をすることをお勧めしています。
この子は症状はありませんが、治療を開始しました。

4. 他院で横隔膜のヘルニアを疑われた

診断 腹膜心膜横隔膜ヘルニア
処置
腹膜心膜横隔膜ヘルニア

術前のレントゲン検査

腹膜心膜横隔膜ヘルニア

術前のエコー検査

腹膜心膜横隔膜ヘルニア

術前のCT検査
肝臓から心膜内に血管の連続性がみられる

腹膜心膜横隔膜ヘルニア

術前のCT検査
肝臓から心膜内に血管の連続性がみられる

腹膜心膜横隔膜ヘルニア

手術時
ヘルニア孔(黄色矢印)から胸腔側へ肝臓が突出している

腹膜心膜横隔膜ヘルニア

手術後
肝臓を切除し、横隔膜を縫合した

かかりつけ病院にて避妊手術を受けた際にレントゲン検査の心陰影から横隔膜ヘルニアを疑われ、精査を目的として当院循環器科を紹介された症例です。エコー、レントゲン、CT検査を行い、心膜内に肝臓の一部が突出している腹膜心膜横隔膜ヘルニアと診断されました。

この時点では無症状でしたが、将来的に心タンポナーデなどの合併症を生じる可能性があることから手術を行い、横隔膜をヘルニア孔から切り上げて心膜内に突出した肝臓の一部を切除し、横隔膜を縫合しました。その後は無事に退院し、かかりつけ病院で経過をみています。

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