環軸椎不安定症
環軸椎不安定症とは
環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)からなる環軸関節が先天的または後天的な原因により亜脱臼を起こす疾患です。
原因
① 先天性原因
先天性原因が最も一般的であり、若齢の小型犬に好発します。歯突起の奇形、軸椎椎体と歯突起との非結合、靭帯の欠損等により発生します。
② 後天性原因
落下や交通事故等による歯突起骨折及び靭帯断裂が原因となります。
症状
環軸関節の脱臼の程度により重篤度は様々ですが、頸部痛、四肢運動失調、四肢麻痺がみられます。脱臼は脊髄方向への逸脱が多く、脊髄を圧迫します。
脊髄圧が高まると呼吸筋が麻痺して呼吸停止に至ります。
診断
主に臨床症状とX線検査により診断しますが、CT検査やMRI検査によりさらに詳細に病変を評価できます。
治療
① 外科療法
背側固定術と腹側固定術が行われていますが、腹側固定術が一般的です。スクリューやピンを用いて環軸関節を安定化し、関節の癒合を待ちます。
術後は1~2カ月の安静が必要です。
【症例1 先天性環椎軸椎不安定症】
環椎軸椎経関節ピン2本と骨セメントにて固定
【症例2 歯突起骨折による環椎軸椎不安定症】
環椎軸椎経関節ピン2本、環椎2本、軸椎2本と骨セメントで固定
② 内科療法
消炎鎮痛剤とギブスを併用することで疼痛は緩和されますが、完治は期待できません。