みなみ野動物病院

脊髄空洞症

脊髄空洞症とは

脊髄空洞症は脳脊髄液の循環動態に異常が起き、脊髄内に空洞病変を形成し液体を貯留する疾患です。
病理学的には脊髄実質内に空洞病変を形成する脊髄空洞症と、中心管が拡大して形成される水脊髄症に分類されますが、臨床上の区別は困難です。

原因・病態

大後頭孔部の狭窄により脳脊髄液の循環不全が起こるとされるキアリ様奇形(CLM: chiarilike malformation)や、小脳尾側部の圧迫や延髄移行部の屈曲などの大後頭孔部における循環不全が原因と考えられる尾側後頭部奇形症候群(COMS: caudal occipital malformation syndrome)、および頭蓋骨や頸椎における先天性奇形などの関連が考えられています。

CLMはキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルでの発症が多く、COMSはチワワ、ポメラニアンなどの小型犬に発症が多く見られます。
近年では、CLMやCOMSを含めた後頭骨から上部頸椎にかけての奇形を総称して頭頸接合部奇形(CJA: craniocervical junction abnormalities)と呼んでいます。

この他、水頭症による頭蓋内圧の上昇、脊髄腫瘍などにより脳脊髄液の循環障害が生じ脊髄空洞症を発症することもあります。

臨床症状

無症状のこともあるが症状は空洞病変が脊髄を圧迫することにより生じ、知覚過敏や掻痒感、疼痛が代表的です。
また、重症例では側弯や四肢の不全麻など空洞の拡大により様々な症状を呈します。

診断

診断にはMRIが不可欠である。空洞内は液体で満たされているため、T1強調画像で低信号、T2強調画像で低信号を呈します。
脊髄空洞症の原因としてCJAが疑われる場合は頭頚部の骨の形態評価にCT検査も有用です。

治療

症状が軽度の疼痛や知覚過敏のみの場合は鎮痛薬や脳脊髄液産生抑制薬、ステロイドによる内科療法が適応となります。
内科療法により疼痛管理が困難な場合や不全麻痺が進行する場合は外科治療を考慮する必要があり、大後頭孔拡大術、空洞-くも膜下腔短絡術(S-Sシャント術)、脳室-腹腔短絡術(VPシャント術)などが適応となります。

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