みなみ野動物病院

当院での神経科症例紹介

1. 後ろ足が動かなくなった

診断 脳脊髄炎
処置
脳脊髄炎

造影CT
T12(緑)-L5(赤)領域に造影の連続性欠如がみられるが、明らかな圧迫病変は無い

脳脊髄炎

MRI T2強調像
L3(青)-L5(黄色)領域が低信号、その周囲で不整に高信号となっている

2歳のトイプードルが急に後ろ足が動かなくなったという主訴で来院されました。腰部の圧痛や姿勢反応の低下から椎間板ヘルニアを疑い造影CT検査を行いましたが、明らかな圧迫病変はみられませんでした。精査のため麻布大学でMRI検査も実施しましたが圧迫病変は無く、脊髄の一部に信号強度の異常がみられました。また、脳脊髄液検査では軽度の炎症がみられました。当院でも神経科の専門外来を受診して頂き、これらの結果から脳脊髄炎と診断しました。現在はステロイドとキロサイドによる治療を行っており、後ろ足の機能もほぼ元通りになっています。

2. 前肢が動かない

診断 椎間板脊椎炎、椎間板ヘルニア、歯突起形成不全

13歳トイプードル未去勢雄
10分前に急に前肢が動かなくなって倒れたとのことで来院されました。神経検査により両前肢の完全麻痺および両後肢の不全麻痺、触診により頚 部の圧痛が認められました。レントゲンでは第5ー6頸椎間および第11胸椎~第3腰椎間の狭窄が認められたため、消炎鎮痛剤で1日経過観察をしましたが翌日には後肢も症状悪化がみられ、MRIおよびCT撮影 を実施しました(他施設にて)。

【MRI検査所見】
・第1頸椎・・・歯突起形成不全
・第4ー5頸椎間・・・椎間板ヘルニア、水和髄核逸脱を疑う
・第5ー6頸椎間・・・椎間板脊椎炎を疑う
処置
【造影後T1強調画像】C5-6

【造影後T1強調画像】C5-6

【造影後T2強調画像】C4ー5

【造影後T1強調画像】C5-6

椎間板脊椎炎に対し抗生剤(アモキシシリン・クラブラン酸配合剤)、椎間板ヘルニア等に対しプレガバリンを処方し、3か月内服しながら定期的に神経検査およびレントゲン検査を実施しており、明らかな改善傾向が認められています。自力で歩行もできています。

3. けいれん発作を繰り返す

診断 髄膜脳脊髄炎
処置
髄膜脳脊髄炎
髄膜脳脊髄炎

2歳のチワワで、けいれん発作を主訴に来院されました。院内での各種検査の結果明らかな異常はなく、抗けいれん薬の内服を開始しても発作が続いたため、神経科専門外来での診察を開始し、他施設にてMRI検査を実施しました。MRIでは画像のように右前頭葉から側頭葉の病変(黄矢印)および脳圧の亢進が認められ、MUO(原因不明の髄膜脳脊髄炎)と診断されました。治療として抗けいれん薬に加えてステロイドの内服および抗癌剤(キロサイド)の投与を開始したところ、けいれん発作の改善が認められました。現在も治療継続中ですが、発作は認められず、経過は良好です。

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