お知らせ
NEWS
2023.7.3 皮膚科勉強会
2023年7月5日
今回は犬と猫の皮膚科の村山信雄先生に「膿皮症」をテーマに講義していただきました。
犬の痒みを生じる皮膚疾患のうち、膿皮症は細菌感染によるもので、飼い主様が「痒がっている・舐めている」「かさぶたがある」「毛が抜けている」といった主訴で来院されることが多いです。膿皮症でみられる皮疹には表皮小環、紅斑、脱毛斑、丘疹が多く、これらは皮膚に常在する細菌が表皮または毛穴に感染し、感染が拡がるために見られる状態です。このような皮疹がみられたら膿皮症を疑い検査、治療を進めていきます。また、今回はよく見る症状以外に、稀に遭遇する粘膜皮膚膿皮症、深在性膿皮症についてもお話いただきました。なかなか普段の診療で見ることはないため、今回のお話を忘れず実際に症例が来た時には適切に対応していけるようにしたいです。
後半は膿皮症の治療について詳しくお話しいただきました。膿皮症の治療管理のためには、ブドウ球菌の管理、健康な皮膚作り、背景疾患の評価が必要です。菌の管理には全身性抗菌薬やシャンプーを使用し、必要に応じて培養検査を行います。シャンプーは膿皮症に大変効果的ですが、「量・順序・頻度」が重要なので適切な方法を飼い主様にお伝えし、実践していただく必要があります。よくある疾患だからこそ、適切な抗菌薬、シャンプー療法を用いることが重要だと感じました。
獣医師 安平芙由
2023年5月25日 愛玩動物看護師向け麻酔セミナー
2023年6月13日
今回は、岐阜大学の柴田先生による看護師向けの麻酔セミナーとして「麻酔器と生体モニタ」をテーマに講義を行っていただきました。今回の講義では、麻酔前と麻酔後の管理や痛みの評価など動物にかかわる事だけでなく麻酔器や麻酔をかけるのに必要な道具、麻酔回路といった細かな器械まで説明していただきました。お話を聞くまでは、麻酔後の管理が大切であると考えていましたが、麻酔後に適切な管理を行うには麻酔をかける前の状態をしっかり把握することが必要であると学びました。麻酔前後の状態を比べることでいつもと違う点や痛みの状態、いま必要な治療や看護は何か理解することに繋がります。手術後は日に日に状態が変化しその子のその日に適した看護を提供する為には動物をよく観察することが私たち看護師に出来ることだと感じました。
また、表情の変化を読み取る難しさを学び、日頃から意識して目や耳、鼻の位置を観察することが必要だと思いました。細かな変化を見逃さないように観察力を身につけて行きたいです。
わんちゃんやねこちゃんの痛みによる負担や不快を減らせるように痛みの管理の手助けができたらいいなと思います。
愛玩動物看護師 樋山実希
2023.4.24 皮膚科院内セミナー
2023年4月25日
今回は犬と猫の皮膚科の村山先生に 「犬の痒みの考え方」をテーマにご講義していただきました。
犬の皮膚病を診断する際には、症状から病態を疾患群で捉えることが重要です。
痒みを生じる疾患群には、感染症、皮膚炎、先天的要因、外傷などがあり、紅斑、丘疹、脱毛などがある場合には感染症、全身症状を伴う脱毛などがある場合などでは内分泌疾患が疑われます。
痒みを伴う疾患では、痒み止めとしてオクラシチニブ(アポキル)を用いる事がよくありますが、本薬物は即効性が期待でき、長期投与の安全性が高いことが知られています。
後半では、そのオクラシチニブの投与量や投与のタイミング、副作用について論文に基づいた解説をしていただきました。
今回は、日頃よく使用する薬物について理解を深める機会となり、今後も薬物の特性や副作用についてしっかり勉強し、理解して使用することが重要であると感じました。
獣医師 才木洸睦
2023.4.6 動物ケアスタッフ向け腫瘍内科院内セミナー
2023年4月16日
今回は動物ケアスタッフ向けで、当院の腫瘍専門外来担当の中野優子先生に「犬と猫の口腔内腫瘍 2023」のテーマで講義をしていただきました。
口腔内腫瘍は細胞診だけでは良性か悪性の判断が難しいため、病理組織生検による確定診断が必要であること、転移の可能性についても詳しく解説していただきました。
特に犬の口腔内腫瘍については、悪性黒色腫がほとんどを占めることや、挙動が悪性と似ている良性腫瘍も存在することについての説明が興味深かったです。また、悪性黒色腫の治療について、局所病変の外科切除後の抗がん剤治療の効果がまだ十分に検証されていないことについても触れられており、最新の情報を学ぶことができました。
講義の中で、腫瘍の大きさが2cm以下で治療ができると長期間の生存が期待できることも知り、早期発見と治療の重要性を再認識しました。
今後もより多くの動物たちの健康を守るために知識を活かしていきたいと思いました。
動物ケアスタッフ 高須喜大
2023.3.30 腫瘍内科院内セミナー
2023年4月1日
今回は当院の腫瘍専門外来担当の中野優子先生に「犬の移行上皮癌2023」をテーマに講義していただきました。膀胱腫瘤の診断には外力カテーテル法を用いた生検による細胞診と病理診断の組み合わせが有効です。エコーで膀胱を確認しながら、カテーテルで目的の腫瘤の一部を採取し、診断します。適応条件はありますが、有効診断率は高いとされています。加えて、遺伝子変異の有無を調べる検査を行うこともあります。
後半では新たな分子標的薬について、論文をもとに詳しくお話ししていただきました。従来の薬と比較して高い治療効果が認められており、治療の選択肢が増えることが期待されます。
移行上皮癌の臨床症状は尿路感染症のものと似ています。エコー検査時に膀胱・尿道の異常を見逃さないことが重要だと感じました。
獣医師 菅原里佳
2023.3.20 麻酔科勉強会
2023年3月25日
本日は東京大学の長久保先生に「副腎腫瘍の周術期管理」「循環の生理学」をテーマに講義していただきました。
機能性の副腎腫瘍は、周術期に特に注意する点がいくつかあリ、副腎皮質機能亢進症では術後の血栓症のリスク、褐色細胞腫では血圧上昇などが考えられます。また、アドレスタンによる治療を行なっている場合は、内因性のコルチゾール不足を予防するため手術前日と術後数日の休薬が必要になります。術前からしっかりと疾患のコントロールをすること、起こりうる事態を想定して適切に対応していくことが大事だと感じました。
後半は「循環の生理学」についてお話いただき、周術期に血圧を維持する目的や、血圧・心拍出量が循環にどのように作用するかを理論的に教えていただきました。難しい部分もありましたが、改めて基礎の重要さを感じたので今後もきちんと勉強していきたいです。
獣医師 安平芙由
2023年3月9日 消化器科院内セミナー
2023年3月11日
今回は日本小動物医療センターの岡本佳与先生に、「犬猫の肝胆道系疾患」について講義していただきました。
日々の診察で遭遇する肝酵素上昇の主な原因や、犬と猫でそれぞれ発症しやすい肝疾患・胆嚢疾患について詳しくお話ししていただきました。肝臓疾患の診断には細胞診が必要となる場面が多々ありますが、疾患の影響で血液凝固異常を呈する症例では注意が必要である、というお話が印象に残りました。
また、膵臓疾患についても講義していただきました。猫では無症状の慢性膵炎を発症していることがありますが、三臓器炎を併発する可能性があるため、症状が無くても頭に入れておくことが重要だと感じました。
岡本先生の講義は今回が最後でしたが、引き続き消化器疾患について勉強を怠らないようにしたいです。
獣医師 菅原里佳
2023年1月12日 眼科勉強会
2023年1月18日
今回はペテモどうぶつ医療センター相模原の寺門邦彦先生に「視覚障害に対する考え方」をテーマに講義していただきました。
視覚障害を疑うときは、問診・視覚機能検査・視覚障害を起こしている部位の特定の順に診断を進めていきます。「目が見えない」「見えにくそう」と言われたら、特に重要なのは眼のどの部位が原因で見えにくさが生じているかです。
原因となる部位には⑴透光体の疾患による視覚障害⑵眼底疾患による視覚機能障害⑶視覚中枢径路の障害が考えられること、それらの部位の特定方法、各疾患の特徴的な所見などを実際の症例写真を用いながら教えていただきました。
今回学んだことをしっかりと身につけて、視覚障害を持つ症例に対して系統的な検査をしていきたいです。
獣医師 安平芙由
2022年12月1日 腫瘍内科院内セミナー
2022年12月2日
今回は当院の腫瘍専門外来担当の中野優子先生に、「皮膚のできもの」をテーマに講義していただきました。
皮膚の部位ごとに発生頻度の多い腫瘍は常に頭に入れておき、鑑別診断に挙げられるようにしておくことが重要です。皮脂腺過形成以外の皮膚に認められた腫瘍は原則として針生検を行ない、積極的に診断あるいは除外していくことも必要になります。針生検で細胞が取れなかった場合、切除生検に進むこともあります。
部位ごとの肉眼所見も症例の写真とともに解説していただき、肉眼所見の重要性を改めて感じました。また、「足裏を気にして舐めている」などと言った飼い主様からの主訴から、皮膚の腫瘍を見逃さないようにすることが大切であるということも学びました。
日々の診察の中で、見落とすことのないよう努めていきたいです。
獣医師 菅原里佳
2022年10月31日 動物ケアスタッフ向け麻酔セミナー
2022年11月15日
今回は岐阜大学の柴田先生による看護師向けの麻酔セミナーとして「体温管理と心肺蘇生」の2つをテーマに講義を行っていただきました。
体温管理については麻酔中に体温が下がってしまった際にどのように対処するか、低体温の予防法など具体的な写真を交えてお話していただきました。
また心肺蘇生についてのお話では救命処置の一部である胸部圧迫のやり方や、必要な薬剤についてお話していただきました。
当院でも麻酔をかける処置は多く、その中で低体温に陥ってしまうわんちゃんやねこちゃんも多いです。そのようなわんちゃん、ねこちゃんの負担をなるべく減らせるように手術中の体温管理を徹底していきたいと感じました。
さらに心肺蘇生についても、いざというときに迅速に動けるよう心肺蘇生の手順や必要な薬剤の知識を頭に入れ、適切に獣医師の補助ができるよう身に着けていきたいです。
動物ケアスタッフ 岡村萌香